2011年04月17日
とある家族の心の旅立ち(1)
佐藤恒子は43歳の主婦、主人は正、長距離トラックのドライバー、子供は小学校5年生の男の子1人で拓海、平均的な家である。
最近、恒子は悩んでいる。
拓海が学校でいじめられているらしいと。いじめといってもまだ暴力沙汰まではいってないらしい。
仲間はずれや、何かあると悪者扱いされているようだ。
拓海は「いじめられているわけではない」と言い張っているが、息子をみると寂しそうで、恒子は胸が痛んだ。拓海は野球が好きだが、友達から誘ってもらえず、1人公園で壁を相手にキャッチボールをしている毎日だ。1年前までは皆と一緒に野球をしていたが、ある試合で、大きなエラーをしてチームは負けた・・・
1年くらい前、息子が友達と一緒に野球をしていた時期がある。恒子が買い物の帰りに学校の横を通りかかったときにグラウンドから大きな声が聞こえてきた。
「お前のせいで負けたんだ」
チームメイトは拓海を責めていた。それ以来誘ってもらえない。
恒子は思う。確かに拓海は運動神経が鈍いし、とろい所もある。
しかし、人に優しいといった良い所もいっぱいあるのに、それがチームメイトに認めてもらえないのが悔しかった。
拓海が仲間に笑顔で謝っているのを見るのが辛かった。拓海の恒子への八つ当たりが増えたことがわかるだけに、息子の苛立ちがかわいそうだった。
なのに拓海は、私に心を開いてくれない。恒子にとってこれが一番情けなかった。
恒子が、「友達との上手な関わり方」を教えようと試みても、「うるさいな!ほっといてよ」と言ってくる。
「転校しようか?」と持ちかけた時は、「そんなことをしたら、一生うらむよ!」と言い返してきた。
ある日、恒子は決意した。10日ほど前、夫が紹介してくれた人へ電話することを。
その人とは、夫の先輩に当たる蘭堂氏だ。
そしてその時の夫との会話を思い出していた。
正「この前街を歩いてたらさ、偶然蘭堂さんに会ったよ。20年ぶりかな~。蘭堂さんってのはね、俺が高校時代に通っていた剣道道場の先生なんだけどね、喫茶店で2時間くらい話したけど、お前の力になってくれるそうだよ。蘭堂さんは心理学にも詳しく、今は企業や個人のコンサルティングというか問題解決を仕事にしているそうだよ。お前から一度電話でもしてみたら?話はしといたからさ」
恒子「どうして私が知らない人に電話しないといけないの?あなたが直接話すればいいじゃないですか・・・。」
正「はぁ・・わかってないなぁ。俺が心配しているのはお前の方だよ・・拓海のことでずっと悩みっぱなしだろう?」
恒子「そうですか・・わかりました。私に問題があるって言うのですね・・・私が悩むのは当然です。母親なのだから。あなたはトラックに乗っていればいいのだもの・・・お気楽ですものね。毎日拓海の面倒を見ているのは私です;;あなたは一緒に悩んでもくれない・・もう;;蘭堂さんだかなんだか知らないけど電話する気なんかないです;;子育てのことなんかわかりもしないくせに、もう、放っておいて欲しいです;;」
恒子はしばらく蘭堂氏の名刺を机の上に投げておいたが、この数日、わらにもすがりたい気持ちになり、思わず名刺を手に取った。
私が拓海を守ってあげなくては誰が守ってくれるっていうの・・・
母親の想いは頂点に達していた。
http://teivillage.slmame.com/
最近、恒子は悩んでいる。
拓海が学校でいじめられているらしいと。いじめといってもまだ暴力沙汰まではいってないらしい。
仲間はずれや、何かあると悪者扱いされているようだ。
拓海は「いじめられているわけではない」と言い張っているが、息子をみると寂しそうで、恒子は胸が痛んだ。拓海は野球が好きだが、友達から誘ってもらえず、1人公園で壁を相手にキャッチボールをしている毎日だ。1年前までは皆と一緒に野球をしていたが、ある試合で、大きなエラーをしてチームは負けた・・・
1年くらい前、息子が友達と一緒に野球をしていた時期がある。恒子が買い物の帰りに学校の横を通りかかったときにグラウンドから大きな声が聞こえてきた。
「お前のせいで負けたんだ」
チームメイトは拓海を責めていた。それ以来誘ってもらえない。
恒子は思う。確かに拓海は運動神経が鈍いし、とろい所もある。
しかし、人に優しいといった良い所もいっぱいあるのに、それがチームメイトに認めてもらえないのが悔しかった。
拓海が仲間に笑顔で謝っているのを見るのが辛かった。拓海の恒子への八つ当たりが増えたことがわかるだけに、息子の苛立ちがかわいそうだった。
なのに拓海は、私に心を開いてくれない。恒子にとってこれが一番情けなかった。
恒子が、「友達との上手な関わり方」を教えようと試みても、「うるさいな!ほっといてよ」と言ってくる。
「転校しようか?」と持ちかけた時は、「そんなことをしたら、一生うらむよ!」と言い返してきた。
ある日、恒子は決意した。10日ほど前、夫が紹介してくれた人へ電話することを。
その人とは、夫の先輩に当たる蘭堂氏だ。
そしてその時の夫との会話を思い出していた。
正「この前街を歩いてたらさ、偶然蘭堂さんに会ったよ。20年ぶりかな~。蘭堂さんってのはね、俺が高校時代に通っていた剣道道場の先生なんだけどね、喫茶店で2時間くらい話したけど、お前の力になってくれるそうだよ。蘭堂さんは心理学にも詳しく、今は企業や個人のコンサルティングというか問題解決を仕事にしているそうだよ。お前から一度電話でもしてみたら?話はしといたからさ」
恒子「どうして私が知らない人に電話しないといけないの?あなたが直接話すればいいじゃないですか・・・。」
正「はぁ・・わかってないなぁ。俺が心配しているのはお前の方だよ・・拓海のことでずっと悩みっぱなしだろう?」
恒子「そうですか・・わかりました。私に問題があるって言うのですね・・・私が悩むのは当然です。母親なのだから。あなたはトラックに乗っていればいいのだもの・・・お気楽ですものね。毎日拓海の面倒を見ているのは私です;;あなたは一緒に悩んでもくれない・・もう;;蘭堂さんだかなんだか知らないけど電話する気なんかないです;;子育てのことなんかわかりもしないくせに、もう、放っておいて欲しいです;;」
恒子はしばらく蘭堂氏の名刺を机の上に投げておいたが、この数日、わらにもすがりたい気持ちになり、思わず名刺を手に取った。
私が拓海を守ってあげなくては誰が守ってくれるっていうの・・・
母親の想いは頂点に達していた。
http://teivillage.slmame.com/
Posted by Tei Vought at 15:26│Comments(0)
│ある物語の言
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