2011年05月02日
とある家族の心の旅立ち(6)
恒子「本当に、息子の問題は解決するのでしょうか?」
蘭堂「それは、あなた次第だと思いますよ・・・。ここで少し整理してみましょうか。」
「あなたにとって、一番辛いのは、息子さんがあなたに心を開いてくれないってことですよね。親として何もしてやれないことがとても辛いとおっしゃいましたね。その辛さをこれ以上味わいたくないとも・・・。」
恒子「はい、そうです。いじめ受けていることを相談もしてくれない。私は力になりたいのに、『ほっといてよ!』って拒否されてしまうんです。」
「こんな無力感を感じることってないですよ・・・。ほんと。子供の寂しさがわかるだけに、親として何もしてやれないことほど辛いことはありません。」
蘭堂「本当に辛いことでしょうね。」
「ところで、その辛さは、誰が味わってきた辛さなのか・・・もうおわかりですよね・・・。」
恒子「えっ?誰がって・・・?ウソォ・・・。父???」
その時、恒子の脳裏に父の顔が浮かんだ。
そうか、この耐えがたい辛さは、父が長年味わってきた辛さなのだと・・・。
娘が心を開いてくれない辛さ。
娘から拒否される寂しさ。
親として何もしてやれない無力感。
今の私の辛さといっしょだ。
「この辛さを、父は20年も味わい続けたんだ・・・。」
恒子のほほを涙が伝った。
さぞ父は辛かったろうに・・・。
恒子「わかりました・・・。私は、私の父と同じ辛さを味わっていたんですね・・・。こんなに辛かったんですね・・・。父が泣き出したのもよくわかります・・・。」
蘭堂「人生で起きる問題は、私たちに大事なことを気づかせてくれるために起きるのです。」
恒子「あらためて父の辛さがわかりました。息子のおかげでわかることができたんですね・・・。息子が私に心を開いてくれなかったおかげで・・・。」
蘭堂「息子さんも、お父さんも、あなたも、心の底ではつながっています。
お父さんへのあなたのスタンスを、息子さんが代わってあなたに示してくれたのです。そのおかげで、あなたは気づくことができた。」
恒子「息子にも感謝したいです。大事なことに気づかせてくれて、ありがとうって気持ちです。」
「今までは、どうしてお母さんに話してくれないの?って心の中で息子を責めていましたから・・・。」
蘭堂「今なら、息子さんの気持ちも理解できますか?」
恒子「あっ・・・そうか・・・わかった。私が子供の頃、口うるさい父が嫌でした。なんでもかんでも口出しして・・・今考えれば、父の愛情だったって・・・。当時は負担でしたね。今の息子も同じ思いなのだと思います。私の押し付けがましい愛情が負担なのだと思います。」
蘭堂「あなたが子供の頃、どんなお父さんでいて欲しかったですか?」
恒子「私を信頼してほしかったです。恒子なら大丈夫。って・・・。」
「私、息子を信頼していなかったかもしれませんね・・・。私が手助けしないと何もできないのではないかと・・・それであれこれ口出ししたり、説教したり・・・もっと息子を信頼してあげればよかった・・・。」
蘭堂「あなたは、お父さんの寂しさを理解し、息子さんの辛さも解ってあげられたようですね。では次に、ご主人について考えてみましょう。最初電話をいただいた時に、あなたの大切な息子さんがいじめられている原因は、あなたが身近な誰かを責めているからという話を覚えておられますか?
恒子「はい、覚えています。主人を尊敬できないと・・・。」
蘭堂「ではもう一度、ご主人に対してどんな風に感じておられるか、話してもらえますか?」
恒子「どうしても、主人に対して教養のない人とか思慮の浅い人というふうに見てしまうんです。息子のことにしても、私がこれだけ悩んでるのに、根拠なく楽観的なんですよ。それでつい、愚痴をぶつけたりしますが、まともに相談したことがないんです。主人がアドバイスは価値が無くて、受け付けられないと思ってます。」
ここまで話しながら恒子は、自分の夫に対するスタンスが、父親のそれと同じであると思った。
恒子「・・・私が父に対して取ったスタンスと似てますね。」
蘭堂「そうなんです。女性の場合、父親に対してとったスタンスが、ご主人に対してのスタンスに投影されることが多いのです。お聞きしていると、ご主人は息子さんを信頼されているようですね。」
恒子「あっ、そうですね・・・そっか、主人のそういうところを見習うべきだったんですね。息子は主人に対して、けっこう本音の話をしていますね・・・。息子は信頼されているから、主人に心を開くのですね・・・。主人のそんなところ、私見ていなかったわ・・・全然。」
蘭堂「なるほど、そんなことを感じられたんですね。」
「さて、では宿題を差し上げます。やるかどうかはご自分で決めてください。今から、この前書いた『父に感謝できること』と『父に謝りたいこと』の紙をだしてください。あのときは、まだお父さんを許すことに抵抗があり、あまり書かれていないと思いますが、今なら書けますか?また別の紙に、『父に対して、どのように接すれば良かったのか』というタイトルをつけて書いてみてください。これは過去のお父さんとの関係を後悔するためではなく、これからのご主人との接し方のヒントを得るためのものです。どうですか?やってみますか?」
恒子「はい、必ずやります、やらせてください!」
http://teivillage.slmame.com/
蘭堂「それは、あなた次第だと思いますよ・・・。ここで少し整理してみましょうか。」
「あなたにとって、一番辛いのは、息子さんがあなたに心を開いてくれないってことですよね。親として何もしてやれないことがとても辛いとおっしゃいましたね。その辛さをこれ以上味わいたくないとも・・・。」
恒子「はい、そうです。いじめ受けていることを相談もしてくれない。私は力になりたいのに、『ほっといてよ!』って拒否されてしまうんです。」
「こんな無力感を感じることってないですよ・・・。ほんと。子供の寂しさがわかるだけに、親として何もしてやれないことほど辛いことはありません。」
蘭堂「本当に辛いことでしょうね。」
「ところで、その辛さは、誰が味わってきた辛さなのか・・・もうおわかりですよね・・・。」
恒子「えっ?誰がって・・・?ウソォ・・・。父???」
その時、恒子の脳裏に父の顔が浮かんだ。
そうか、この耐えがたい辛さは、父が長年味わってきた辛さなのだと・・・。
娘が心を開いてくれない辛さ。
娘から拒否される寂しさ。
親として何もしてやれない無力感。
今の私の辛さといっしょだ。
「この辛さを、父は20年も味わい続けたんだ・・・。」
恒子のほほを涙が伝った。
さぞ父は辛かったろうに・・・。
恒子「わかりました・・・。私は、私の父と同じ辛さを味わっていたんですね・・・。こんなに辛かったんですね・・・。父が泣き出したのもよくわかります・・・。」
蘭堂「人生で起きる問題は、私たちに大事なことを気づかせてくれるために起きるのです。」
恒子「あらためて父の辛さがわかりました。息子のおかげでわかることができたんですね・・・。息子が私に心を開いてくれなかったおかげで・・・。」
蘭堂「息子さんも、お父さんも、あなたも、心の底ではつながっています。
お父さんへのあなたのスタンスを、息子さんが代わってあなたに示してくれたのです。そのおかげで、あなたは気づくことができた。」
恒子「息子にも感謝したいです。大事なことに気づかせてくれて、ありがとうって気持ちです。」
「今までは、どうしてお母さんに話してくれないの?って心の中で息子を責めていましたから・・・。」
蘭堂「今なら、息子さんの気持ちも理解できますか?」
恒子「あっ・・・そうか・・・わかった。私が子供の頃、口うるさい父が嫌でした。なんでもかんでも口出しして・・・今考えれば、父の愛情だったって・・・。当時は負担でしたね。今の息子も同じ思いなのだと思います。私の押し付けがましい愛情が負担なのだと思います。」
蘭堂「あなたが子供の頃、どんなお父さんでいて欲しかったですか?」
恒子「私を信頼してほしかったです。恒子なら大丈夫。って・・・。」
「私、息子を信頼していなかったかもしれませんね・・・。私が手助けしないと何もできないのではないかと・・・それであれこれ口出ししたり、説教したり・・・もっと息子を信頼してあげればよかった・・・。」
蘭堂「あなたは、お父さんの寂しさを理解し、息子さんの辛さも解ってあげられたようですね。では次に、ご主人について考えてみましょう。最初電話をいただいた時に、あなたの大切な息子さんがいじめられている原因は、あなたが身近な誰かを責めているからという話を覚えておられますか?
恒子「はい、覚えています。主人を尊敬できないと・・・。」
蘭堂「ではもう一度、ご主人に対してどんな風に感じておられるか、話してもらえますか?」
恒子「どうしても、主人に対して教養のない人とか思慮の浅い人というふうに見てしまうんです。息子のことにしても、私がこれだけ悩んでるのに、根拠なく楽観的なんですよ。それでつい、愚痴をぶつけたりしますが、まともに相談したことがないんです。主人がアドバイスは価値が無くて、受け付けられないと思ってます。」
ここまで話しながら恒子は、自分の夫に対するスタンスが、父親のそれと同じであると思った。
恒子「・・・私が父に対して取ったスタンスと似てますね。」
蘭堂「そうなんです。女性の場合、父親に対してとったスタンスが、ご主人に対してのスタンスに投影されることが多いのです。お聞きしていると、ご主人は息子さんを信頼されているようですね。」
恒子「あっ、そうですね・・・そっか、主人のそういうところを見習うべきだったんですね。息子は主人に対して、けっこう本音の話をしていますね・・・。息子は信頼されているから、主人に心を開くのですね・・・。主人のそんなところ、私見ていなかったわ・・・全然。」
蘭堂「なるほど、そんなことを感じられたんですね。」
「さて、では宿題を差し上げます。やるかどうかはご自分で決めてください。今から、この前書いた『父に感謝できること』と『父に謝りたいこと』の紙をだしてください。あのときは、まだお父さんを許すことに抵抗があり、あまり書かれていないと思いますが、今なら書けますか?また別の紙に、『父に対して、どのように接すれば良かったのか』というタイトルをつけて書いてみてください。これは過去のお父さんとの関係を後悔するためではなく、これからのご主人との接し方のヒントを得るためのものです。どうですか?やってみますか?」
恒子「はい、必ずやります、やらせてください!」
http://teivillage.slmame.com/